突然ですが、皆さんは高速道路料金の支払いは何で支払っていますか?

ETCはどうでしょうか?専用レーンを通るだけで、自動的に高速料金が支払われる画期的な支払いシステムです。
日本での導入は、1997年3月から試験的に導入され、2001年11月30日には全国の高速道路、有料道路で運用が開始されました。
ETCを使うためには、ETC車載器と呼ばれるETC支払い専用の端末が必要です。そしてETC車載器は、その端末だけでは、支払いをすることができません。
ETCカードと呼ばれる、顧客情報(クレジット情報など)が入っているカードを挿入しなければ、ETCレーンの使用ができないことは、皆さんもご存じかと思います。
ETCカードの申し込みには、基本的にクレジットカードが必須です。

今回は、デビットカードでETCカードの申込はできるのかといことについて解説していきます。
目次
デビットカードではETCカードに申し込めない?

コラムが始まって早々に結論を述べますが、「デビットカードでETCカードは作れません。」
それには、きちんとした理由があります。それが、ETCの支払い方式という仕組みです。
ここでは、ETCの支払い方式と、ETCの仕組みについて解説していきます。
デビットカードでETCカードが作れない理由は「支払い方式」にあった!
デビットカードの支払い方式は、クレジットカードと違い「即時決済」が基本です。
銀行口座から直接支払いを行うのは、皆さんもご存じのはずです。ETCカードの支払い方式は、クレジットカードと同じ「後日決済」です。
ETCが導入された背景は、高速道路の渋滞緩和があります。
そのため、デビットカードではETCカードが作れないということです。
いまさら聞けないETCの仕組み
ETCの支払い方式に関しては説明しましたが、ETCの仕組みについてもう少し詳しく解説していきましょう。
なんとなく知識があるのと、きちんと知識があるのとでは、これからお話する「クレジットカードが作れなくてもETCカードを作る方法」の理解力が違ってきます。
日本のETCは、先ほども触れましたが、ETCカードとETC車載器の二つが無いとなんの意味も持ちません。
車載器に入っているETCカードの情報を、ETCレーンについている受信機に無線方式で伝えるのが、ETC車載器の役割です。
ETCカードが挿入されていないと、車載器から発信する情報が無いためETCレーンの開閉バーが開かず渋滞になってしまいます。
ETC搭載車か、そうでないかの判別も、このETC車載器から発せられる電波で判断されます。
ETC車載器があって初めて、ETCレーンを通り抜けることができるETCカードになるというわけですね。
クレジットカードが作れなくてもETCカードを作る方法とは?

クレジットカードが作れない人や、作りたくない人など色々な理由でクレジットカードを持たない人もいます。

ここからは、クレジットカードを作らなくてもETCカードを作る方法について解説していきます。
ETCカードはこんなにお得!
まず、ETCカードのメリットをお伝えします。ETCカードのメリットはその「割引率」です。
ETCカードで高速道路を利用する場合、現金で高速道路の料金を支払う場合で、どちらがお得なのかを表にしました。
現金 | ETCカード | |
---|---|---|
平日朝夕割引 | 割引なし | 【マイレージサービス加入者限定】 平日朝6時~9時 平日夕方17時~20時 地方部 月間高速利用回数に応じて割引(最高で50%) |
深夜割引 | 全ての車種 毎日深夜0時~4時 30%割引 | 全ての車種 毎日深夜0時~4時 30%割引 |
休日割引 | 普通車、軽自動車(二輪車)等限定 土日祝日終日 30%割引 | 普通車、軽自動車(二輪車)等限定 土日祝日終日 地方部 30%割引 |
マイレージポイント | 無し | 使用金額10円で1ポイント付与 マイレージポイント利用可能道路にてポイントを利用して高速道路料金を支払える 1,000ポイント=500円分 3,000ポイント=2,500円分 5,000ポイント=5,000円分 ポイント数に応じて、ポイントの交換率が変動 |
深夜割引と休日割引は現金支払いの場合でもありますが、平日朝夕割引とマイレージポイントは、ETCカードを持っていないと利用できないサービスです。

審査なしのETCカードがある!
ETCカードはクレジットカードを持っていれば、基本的に審査なしで発行できます。
クレジットカードをもっていない人もETCカードを発行することは出来ますが、そのためにはETCカードを扱うカード会社の審査を受ける必要があります。
クレジットカードを作りたくない、作れない人は、与信情報がブラックな場合がほとんどです。
しかし、審査なしのETCカードがあるのをご存じでしょうか?それが「ETCパーソナルカード」と呼ばれているカードです。
発行するためには、高速道路を運営している「NEXCO」や、「首都高速道路株式会社」ETCパーソナルカードを申し込む必要があります。
デポジット金に加えて年会費1,234円も必要です。
例えば、1ヵ月5,000円しか利用しない人が20,000円のデポジット金でETCパーソナルカードを発行したとします。
長期休暇を利用して、高速道路を使って旅行し、16,000円を超える距離を走行したとしましょう。
ETCレーンに並んだものの、デポジット金の80%を既にオーバーしているので、ETCレーンのバーが開かない=ETCパーソナルカードが使えないという状態になっているということになります。
このような状態にならないためにも、ETCカードと高速道路を使って旅行を計画する場合には、高速道路の利用料金だけではなく、ETCパーソナルカードのデポジット金も用意しておく必要があるため、注意しましょう。
クレジットカードを持っている家族がいれば利用できる?
ただし、家族カードを扱っているクレジットカード会社が少ないことがデメリットで、有名どころであれば、「イオンカード」や、「楽天カード」「OricoカードTHE POINT」くらいしか家族カードの取り扱いはありません。
もし家族が家族カードを発行できるブランドのカードを持っていれば、ETCカードの申し込みができるので、家族の許可を得て、申し込みをしてみてもいいでしょう。
法人専用クレジット機能なしのETCカードがある!
法人専用のクレジット機能なしのETCカードも存在します。
自営業者か法人だけに発行される「法人ETCカード」や、「ETCコーポレートカード」がそれにあたります。
法人専用に発行されるカードで、個人事業主の方や、新しい企業の方でも発行しやすいカードとして知られています。
発行手数料や取り扱い手数料はかかりますが、先ほど挙げた各種割引に対応している他、クレジット機能が無いため、経費計算の簡素化にも繋がります。

審査が緩いクレジットカード会社を探す
上記の方法以外では、最終手段として「審査の緩いクレジットカード会社」でクレジットカードを作るという手段があります。
ここからは、審査の緩いクレジットカード会社でクレジットカードを作る方法について解説していきます。
自分の与信能力を確認する
まずクレジットカードを申し込む前に、自分自身の「与信能力」を確認する必要があります。
デビットカードは、クレジットカードと違い、口座にある残高を担保にして、買い物などに使えますが、区ジレットカードは自分の信用情報を担保にして支払いを行うカードです。
そのため、自分自身の与信能力を把握しておくことは、クレジットカードを作る上でとても大事なことだと言えます。
ブラックリストに自分の名前があるかを確認する方法
与信情報の確認とは、要は金融機関に自分の名前がブラックリストに載っていないかを確認することです。
実際、金融機関にはブラックリストと呼ばれている帳票類は存在しません。
クレジットカード会社は、申し込みを受けると、申込者の金融事故履歴を確認するために、信用情報機関に、申し込み者の情報を照会します。
金融事故情報とは、主に「自己破産」「長期延滞」「代位弁済」「債務整理」などが該当します。
自己破産や長期延滞に関しては今更説明する必要もないかも知れませんが、「代位弁済」と、「債務整理」に関しては、詳しく知らないという方がほとんどでしょう。
少しこの二つの金融事故について簡単に説明します。
債務整理とは
任意整理、民事再生、自己破産のことを指しますが、自己破産はそれだけで金融事故扱いになるため、ここでの債務整理は、任意整理と民事再生を指しています。
債務整理を簡単に説明すると、借金の整理に弁護士が介入したものが債務整理になります。
債務(借金)の免除や、返済額の軽減、返済期限の延長など、借金返済の条件面での整理を指します。
代位弁済とは
簡単にいうと、本人(債務者)の代わりに保証会社が返済をした状態を指します。
最初にお金を借りた金融機関自体には返済は終わっていますが、保証会社にはまだ債務が残っている状態です。
自己破産や、長期延滞、債務整理などをしたことが無いのに、クレジットカードやローンの申し込みができなかったという人は、この「代位弁済事故」として信用情報機関に名前が載っている可能性があります。
これらの金融事故履歴は、日本の信用情報機関のデータベースに記載されます。日本にある信用情報機関は全部で以下の3社です。
- 日本信用情報機関(JICC:Japan Credit Information Reference Center Corp.)
- 全国銀行個人情報センター
- CIC(CREDIT INFORMATION CENTER)
この3社それぞれが信用情報を共有しており、どれかの信用情報機関から名前が消えたとしても、他の2社にはまだ名前が残っているということもあります。
自分の信用情報を知りたい場合には、それぞれの機関に対して、個人信用情報の開示を行います。
現在はスマホやパソコンで個人信用情報の開示ができますが、開示に伴う手数料を支払う必要があります。手数料はそれぞれの機関で異なりますが、大体500円~1,000円です。
他に、個人情報確認書類(免許証など)が必要です。ちなみに、金融事故の履歴は、それぞれの信用情報機関で保管の期限が異なります。
それぞれの情報開示手数料と、履歴保管期限をわかりやすく表にしたので、参考にしてください。
日本信用情報機関 JICC | 全国銀行個人情報センター | CIC | |
---|---|---|---|
情報開示請求手数料 窓口受付 | 500円 | 受付なし | 500円 |
情報開示請求手数料 郵送受付 | 1,000円 | 1,000円 | 1,000円 |
情報開示請求手数料 インターネット | 1,000円 | 受付なし | 1,000円 |
金融事故保管期限
日本信用情報機関 JICC | 全国銀行個人情報センター | CIC | |
---|---|---|---|
長期延滞 | 延滞解消から1年 | 契約終了日から5年 | 延滞解消から5年 |
債務整理 | 取引終了から5年 | 契約終了日から5年 | 取引終了から5年 |
自己破産 | 取引終了から5年 | 決定から10年 | 取引終了から5年 |
代位弁済 | 取引終了から5年 | 契約終了日から5年 | 取引終了から5年 |
この表を参考に、自分の与信能力を確認した上で、クレジットカードの申し込みを行いましょう。
銀行系のクレジットカードは、金融事故履歴の保管が長いので、クレジットカードの申し込みは避けた方が無難です。
CICとJICCは、ほとんどクレジットカード会社の照会先になっているため、この2社に保管されている自分の与信情報を確認しておけば問題ないでしょう。
審査に通りやすいと言われているクレジットカードでETCカードを作る

信用情報機関に自分の情報がないことを確認した上で、クレジットカードの申し込みをします。
また、ブラックリストに載っている場合でも、比較的審査が緩いと言われているカードの申し込みも検討してみてはいかがでしょうか?
以下に、クレジットカードの審査が比較的緩いカード会社2社を紹介していきます。
アメリカン・エキスプレスカード
アメリカン・エキスプレスカードは、外資系のクレジットカード会社として世界中に展開する会社です。
日本のクレジットカード会社は、信用情報機関に申し込み者の与信能力を照会しますが、アメリカン・エキスプレスは、過去の履歴よりも、申し込みをした段階で返済能力があるかを判断します。
もちろんアメリカン・エキスプレス独自の審査などもありますが、日本のクレジットカード会社よりは、審査に通りやすいと言われています。
ただし、今現在の収入が安定しているかという点はかなり厳しく審査されますので注意しましょう。
エポスカード
マルイカードから名称が変わり、エポスカードになりました。
マルイカードと言えば、洋服を分割で購入できるカードで、学生や主婦でも簡単に作れるイメージがありますが、実際にはれっきとした「クレジットカード」です。
それには申し込み時にちょっとしたコツがあります。
- キャッシング枠を申し込まない
- 入会キャンペーン時に申し込む
- 金融事故履歴が過去1年間で無い
- 勤務先での勤務年数が1年以上
信用情報を照会する期間は、JICCとCICの2社です。ただし、ショッピングのみ利用の場合は、CICだけにしか照会しません。
試しに申し込んでみてはいかがでしょうか?
デビットカードでのETCカード作成は不可能!しかしそれ以外の方法で作ることは可能!
デビットカードでETCカードを申し込むことはできませんが、それ以外の方法でETCカードを発行することができることがわかりました。
高速道路を日常的に使っている人であれば、ぜひとも利用したいETCカード。
クレジットカードを作れない人や、作りたくない人でも、ETCカードを発行することができるのは嬉しいポイントですね。
是非、自分の与信状況などを確認しながらETCカードを作成してみてはいかがでしょうか?
「クレジットカード」